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eSportsチーム経営者を目指す人が取り組むべき3つのこと

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前回の記事でお話しましたが、これまで私は弱小e-sportsチームの営業スタッフとして、約3年間スポンサー獲得営業を担当してきました。ですが最近、新たなチーム方針として私がチーム経営に一部関わっていくことが決まり、今は慣れないチーム経営について猛勉強中です。

この記事では、そうしたチーム経営業務の引継ぎを行うなかで「e-sportsチーム経営をするなら最低限このあたりは勉強して取り組むべきだろう」と私が思った事柄を3つご紹介したいと思います。

※私自身、かなり勉強不足な部分もあるかと思いますので、これからチーム経営をはじめる方には、この記事はあくまで参考程度にお読み頂き、経験豊富なチームオーナーさんたちに話を聞いてみることをおすすめします。

1.eSportsを知る

海外の盛り上がりと日本の現状を冷静に比較・評価できる視座を持つと良いかもしれない (写真:Riot公式)

(写真:Riot公式)

組織が大きくなればなるほど、経営者にはチームの方針を指し示す指導者としての役割が求められ、その方針判断にはeSportsカルチャー、eSportsシーンへの理解は必要不可欠です。私自身、これまでeSports活動に関わってきてある程度わかっているつもりになっていましたが、復習の意味も兼ねて改めて体系的に理解すべきだと考えました。

そもそもeSportsとは?

日本において「eSports」という言葉が何を指すのか、その言葉の定義はまだ曖昧な部分があると思います。(eSportsの議論をしようとするときに「そもそも何をeSportsって呼んでます?」と、言葉の定義の話になることありますよね。)

三者三様の解釈があるのは良いですが、せめて自分のチームの中だけでも「eSportsとはなんなのか」をハッキリさせておいたほうがよいでしょう。

定義の例としては、「コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称」(日本eスポーツ協会)、「デジタルゲームを使用した競技」(『ゲームの今 ゲーム業界を見通す18のキーワード』)といったゆるめの定義をされている方々もいれば、「操作に高度な技能が必要となる対戦型ビデオゲームを用いた競技」(DetonatioN Gaming)、「ゲームシステムの基本的な部分がPvP(対人戦)であること。スペクテイターフレンドリー(観戦モードの充実等)であること。勝敗を決める要因がプレイヤースキルに依存すること。基本的にはこの3つが、ゲームタイトルがe-Sportsなのかどうかを定義する際に必要な項目」(e-Sports Hack)などやや限定した定義を使われている方々もいらっしゃいます。

eSportsカルチャーを取り巻く環境

定義に続き、eSportsカルチャーの歴史ついてもおさらいしておく必要があるでしょう。米国、欧州各国、中国、韓国、そして日本。国ごとのシーン発展の違いを比較し、その違いについて自分なりに意見を持っておくと良いかもしれません。「なぜ日本のeSports発展は遅れているのか」という議論はそこかしこで発生するので。

また、eSportsに関わっている個人/団体/企業についても整理しておきましょう。どういった人たちがいるのか。どんな立場でどういった関わり方をしているのか。そして彼らそれぞれの考えや思惑も理解しておく必要があります。

スポーツ規範

競技チームとして周囲から求められる「スポーツマンシップ」「フェアプレー」といった行動規範についても理解しておくべきです。また、こういった規範はチーム統制の手段・指針としても活用できます。

2.チームを知る

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これも当たり前なことですが、私のように経営を引き継ぐ人間にとっては特に「チームのことを理解する」ことが必要です。

そしてこれは私が実際に引き継ぎ作業を進めていて思うことですが、「その人しか知らない」「明文化されていない」ことが往々にしてあります。今後のためにも随時資料化・マニュアル化を進めておきましょう。ちなみに、資料・マニュアルなどが用意されていたとしても、教える側が用意しているものには、業務への慣れで手順を短縮してしまったり、細かな注意点が不足していたり、ということもありますので、教わる側が手をいれることでより実用的なものが作れます。

チームの理念や設立背景

チームが持つ理念、ビジョンを理解し、自分がそれを語れるようにならなければなりません。また、チームの設立時から現在に至るまでの沿革を知っておく必要もあるでしょう。また、これらがドキュメント化されていないようであれば作成し、今後は適宜更新していくようにしましょう。

必要とされる経営者像

現オーナーから、チームメンバーから、そして外部の関係者やファンから求められている「経営者像」をできるかぎり掴んでおきたいです。それに100%こたえる必要はないと思いますが、どんなマインド、行動を求められているのか把握しておくと動きやすくなります。

チーム設立・運営における業務フロー

チーム立ち上げ当初から遡って、どういった業務が、どんなフローで行われてきたか把握をしておきましょう。立ち上げ当初まで遡るのは、契約関係などの引き継ぎ漏れをなくす意味合いがあります。活動拠点確保、メンバー・スタッフ確保、法人格取得、資金調達など、その実務のなかでどんなやり取りがなされてきたのか、しっかり把握することでトラブルを未然に防げます。

3.チーム経営を知る

team_plan
ここからは引継ぎではなく、今後のアクションプランについてです。

お恥ずかしながら、これまで私の所属チームはプランのない行き当たりばったりな経営を行ってきました。その結果、周囲からの協力は得にくく、チーム内でも不安が生まれてしまいがちな状況が続いていました。ということで現在、来年に向けて素人ながらチーム経営戦略の見直しを行っています。

ちなみに色々なチームの話を聞くと、しっかりとチームの経営戦略が設定されている場合でも、それがチーム内に共有し切れていないことも多いようです。ですので、なにかの機会に経営戦略の管理・運用の流れについて一度見直してみると良いかもしれません。

チーム経営戦略の策定

チームの理念・ビジョン達成のために、具体的にどういった活動を行うか。SWOT分析、3C分析などを通じて分析・評価をしながら、チームの事業領域(何でお金を稼ぐのか)を決め、目標を設定します。そして、目標を達成するための手段とスケジュールを組み立て戦略を策定します。

戦略の実行とマネジメント

策定した戦略にどれだけの予算・人員をかけるかリソース配分を考え、責任者・メンバーを決定。そして、どんなに優れた戦略でも、それが的確に実行されなければ意味がありません。各プロジェクト進行に適切なマネジメントが求められます。

戦略の管理(見直し)

定期的にSWOT分析、3C分析や、財務分析などを行って、戦略や状況を評価します。そして必要であれば、戦略変更や新たな戦略策定を行います。

チーム経営者に求められることは死ぬほどたくさんある

先日とあるチームオーナーさんから頂いた激励の言葉があります。
「チーム経営者に求められることは死ぬほどたくさんあるよ。状況理解、判断、スタッフ・プレイヤー・関係各所とのコミュニケーション、人事管理、財務経理、事務処理…、数えだしたらキリがない。そしてそれらをこなしていくなかで、”自分の情熱を保ちつづけること”が一番大切。情熱を持ち続けて真摯に取り組んでいれば、周囲は必ず君を助けてくれるよ。」

この記事でご紹介した「取り組むべきこと」は本当に最低限のことで、チームオーナーに求められる業務は多岐にわたります。eSportsチームは人手不足なことが多く、オーナー自身がスポンサー営業や競技部門の実務まで行われている例も珍しくありません。(これまで1人のチームスタッフとしてお世話になっていた身としては、本当に頭の下がる思いです。)

これからは、そんなパワフルな先輩方に少しでも近づけるよう、そして良いチーム経営ができるよう、情熱を絶やさずに私も精進していこうと思います!

最後に

最後になりますが、今後もチーム運営に関する情報をどんどん発信していく予定です。

あまり需要は多くないかもしれませんが、私自身、eSports活動を始めた当初は何もかも手探りで色々苦労したこともあったので、これからチーム関連の仕事をされようとしている方にとって、少しでも参考になる情報をお届けできたらと思っています。そして「これは違うだろ!」とか、「こういうこと知りたい」とか、なんでも構いませんので、ぜひご意見・ご感想いただけたら嬉しいです!

(※編集部注:ご意見・ご感想は『お問合せフォーム』にて受け付けております)

(イラスト:Lisa)


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